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コンチングとリファイニング

コンチングとリファイニングの使い方は混乱しがちで、その定義や目的をしっかり理解しようと、

「カカオとチョコレートのサイエンスロマン」「ダンデライオンのチョコレート」「CHOCOLATE ACADEMY」「チョコレート製造技術のすべて」を読んで纏めてみました。



リファイニングとコンチングを1つの機械で行う事もありますが、本来リファイニングとコンチングはその目的が違うプロセスです。

古代、カカオ豆を砕くために、とうもろこしの粉砕に使う道具を使いました。しかし、それでは滑らかなチョコレートにはなりません。


(私も何度かすり鉢で作りましたが、味わいはありますが滑らかさは出ません)


ザラザラとした舌触りを改善するために、おなじみリンツ・チョコレートの創始者リンツさんに考案された機械が、コンチングマシーンです。

1879年のことだったそうです。

この機械で連日連夜混ぜてチョコレートを磨砕し練り上げるプロセスをコンチングと呼びました。


そしてコンチングによって舌触りが改善されるばかりではなく香味も改善されるという事がわかりました。

カカオの特徴的な味、香り、および食感がこの段階で開発されます。

コンチングの目的は固体粒子を細かくすること、そして香味の改善です。

なめらかな舌触りのチョコレートをつくるためには、カカオ固形分と砂糖結晶の粒子が15〜25ミクロンにします。

人の舌は30ミクロン前後ではざらつきを感じ、10ミクロン未満ではグミのような粘りを感じるようになります。


またコンチングの動作中に、チョコレートの生地のなかで物理的な化学反応がおきて、良好な香味を発生、拡散させ、また不快な香味となる不要な成分を除去します。

コンチングは、機械の性能や作り上げたいチョコレートにより、12時間〜72時間作動させ続けます。


リファイニングは、コンチングの前の段階の、カカオの個体をペースト状に粉砕する行程です。

この前段階を経ることで、のコンチングの時間を短縮させ、砂糖やミルクパウダーまたカカオ等の固体粒子の均一化により、最終商品にしたときの舌触りの良さ、粘度を低くすることができます。


リファイニング、コンチングは、おそらく現代のチョコレート製造でもそのプロセスにおける化学反応が最も難解で完全に理解されていないプロセスです。


当初私達がカカオ豆からチョコレートを作る時には何もしらず見様見真似で試行錯誤を繰り返しました。

途中、何人かのショコラティエや専門家に教えを乞ったりもしました。

そのたびに改善してきました。


コンチングマシーンの蓋を締めたまま回していたこと、ローラーの高さが低すぎ、また温度が高くなりすぎていたこと、テンパリングマシーンの隣で回していたこと、、、

今考えると何故ダメだったのかの理屈が分かります。


それらの最低限の理屈を分かった上で、後は自分が望むチョコレートフレーバーを作り上げる条件の組み合わせ(低または高い粉砕力、高または低温度、短時間または長時間)を見つけ出すことが大切だと思います。


私がカカオ豆をお届けしているお客様がチョコレートの作り手の方々なので、皆様に色々と教えて頂く事もできていて本当にラッキーです。


そういった知識と経験により、(そしてできればマシーンへの投資)BINONのチョコレートも、もっと美味しくできると思っています。


また、機械や工程がいかに優秀でも、カカオ豆自体の品質の悪さ(発酵や乾燥、保管方法などに起因する)を隠すことはできず、原材料であるカカオ豆を丁寧にしっかり作る事、信頼できる生産者の方々と連携もとても貴重だなぁと改めて思います。






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